簡易な解説
債務整理には「任意整理」・「個人再生」・「自己破産」の3つがあります。それぞれの手法は一長一短。どれが優れているというわけではなく、債務者の方の借金の総額や状況によって上手に使い分けることが不可欠です。
手軽で安易な「任意整理」
任意整理は債務者から委任を受けた弁護士が、債権者と直接交渉を行います。裁判所などの公的な機関を利用しないため、期間も短く、費用も比較的安価に済ませることが可能です。
また、任意整理は債務者の方の借金の状況に合わせて、和解交渉をしたい債権者のみを選択することができます。たとえば連帯保証人がいるために和解をしたくないサラ金が存在すると言った場合、その業者を除外して任意整理を行うことができるようになります。
このように柔軟な対応ができる任意整理ですが、一方でデメリットも存在します。任意整理は公的機関を利用しない和解交渉のため、弁護士の交渉スキルに大きく依存する側面があります。
たとえばAという弁護士とBという弁護士では、和解条件となった支払いの繰り延べや債務の圧縮などに差が出るということです。また公的機関を利用しないため、個人再生や自己破産のように借金を大きく減債するということはなかなか難しく、どちらかといえば利息をカットして返済を繰り延べすることに主眼が置かれるようになります。
生活を変えずに借金を圧縮する「個人再生」
個人再生の強みはなんと言っても住宅ローンを残したまま、大幅に債務を圧縮できることです。マイホームは人生の買い物の中で最も大きいもの。これを差し押さえられてしまうと人生設計が水の泡。場合によっては家族の離散の憂き目に遭う可能性だって否めません。
しかし債務超過に陥っても個人再生を利用すれば、住宅ローンのみ返済を残したまま、他の債務は大幅に圧縮可能。現在の借金を3割程度まで圧縮した上で、持ち家には今のまま住み続けられるのですから、生活を変えずに借金問題を終わらせることができるようになります。また、自己破産とは違って免責不許可事由が生じないため、たとえば株式で追証が生じたり、遊興費やギャンブルでの出費で借金になったとしても、手続きにはなんら問題がありません。
このように便利な個人再生ですが、公的機関を利用するために手続きにやや時間がかかること。また、住宅ローンの返済が前提になるため、アルバイトであっても継続的に仕事をして収入があるというのが条件になります。
すべての借金を帳消しにする「自己破産」
自己破産はあらゆる借金を帳消しにできる最も効果の高い債務整理。億単位で借金があったり、もしくは五十社・百社の消費者金融から借入をしても、自己破産を行うことでこれらの借金はすべて帳消しになります。また、自己破産を行っても家電などの生活必需品や百万円未満の現金を保持することはできるため、生活に不便が生じることはありません。
自己破産はこのように強力な債務整理であるため、公的機関を利用する必要があります。またレジャーやギャンブル、投資などのような免責不許可事由に該当する場合、裁判所が免責許可を出さない可能性もあるため、その点には注意が必要です。