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自己破産で免責不許可になるケースとは?
自己破産すればどんな債務でもゼロにできるというわけではありません。なかには、「免責不許可」といって、最終的に債務を免除してもらうことができないケースもあります。では、どのような場合がそれに該当するのでしょうか。
免責不許可になるのはどんな場合?
自己破産の手続きによって債務をゼロにしてもらえるのは、「免責許可決定」がおりた場合です。逆に言えば免責許可がおりなければ自己破産を申し立てても債務は残ることになります。
大雑把に言えば、免責が不許可になる、つまり裁判所から認められないという事例は「ギャンブルや浪費で散財し、その債務が非常に高額にのぼる」「人を騙したりする、背信的な方法で借り入れをした」など、要するに常識的な考え方からすれば免責させることに心理的抵抗を感じるような場面だと思えば良いでしょう。前者はパチンコやブランド品の買い漁りなどが代表的なものですが、後者はたとえば「事業資金を貸してくれ、儲かったら必ず返す」などと言い、見込みのない事業のために不特定多数から多額の借り入れをしたなどです。
ギャンブルがあるともう免責は無理だと思い込んでいる人もいるのですが、どのくらいの割合なのかという程度にもよるのです。債務の中の一部分がギャンブルである場合は免責が認められることの方が多いですし、8割以上など大部分であれば免責の判断が厳しくならざるを得ないといえます。
免責観察型の管財事件って何?
自己破産を申し立てた時に「同時廃止」ではなく、「管財事件」に振り分けられる事由は二種類に分けられます。一つは「破産者に見るべき財産があるため、破産管財人を選任してそれを配当する必要があるとき」、もう一つは「免責不許可事由があるとき」です。後者は「免責観察型」とも呼ばれ、債務者が借金の原因につき、真摯に反省しているのかどうか、免責を認めることで債権者の納得が得られるのかどうかというメンタル面も含めての判断をしなければならないような事例です。これは配当のための破産管財人選任ではないため、破産者に財産があるかどうかを問わず選任されます。
ただ、免責不許可事由があるからといって、もう免責されないということではなく「裁量免責」といって、破産管財人が手続きの過程で破産者に反省の態度、更生の見込みがあるようであれば「免責相当」という判断をくだして裁判所に意見書を出します。これが出されればいったん免責不許可事由ありとされた人でも債務をゼロにしてもらえるのです。現在、免責不許可事由ありでいったん破産管財人が選任された事件でも、9割方はこの「裁量免責」によって免責されています。
自己破産しても免責されない債権とは?
自己破産によっても免責を受けることができない債権もあります。その代表的なものが租税債権です。
国税にしろ地方税にしろ、皆から平等に徴収することで国や社会が成り立っているわけですから、免責してしまうと基本的なインフラや福祉など市民生活に欠かせないものが作れないため、これらは破産によっても支払い義務を免れることができないのです。ただ、税金についてはそれぞれの管轄部署に事情を相談することで分納や一時停止などの措置が設けられていますから早めに相談するべきです。もし何も言わずに滞納すると給与の差し押さえなどがされることもありますので、せっかく他の債務を免除されても経済的再生ができなくなってしまいますから注意が必要です。
また、離婚に伴う子供への養育費や、他人に対して悪意で加えた不法行為に対する損害賠償請求権も破産によって免責されません。前者は子供の健全な養育のためなので免責することが適切ではないという趣旨です。後者の悪意とは、よほどの害意でなければ(=悪質性が高くなければ)免責となるのが実務的な現状です。