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特定調停スキームを使って借金から再生する方法とは?
いっこうに上向いてこない景気の中で、中小企業の倒産も相次いでいます。実際に倒産に追い込まれていないまでも、すれすれのところをどうにか生き延びている企業は数知れないでしょう。中小企業が負債に苦しんでいる時、国が用意した救済策を利用できる場合があります。たとえば、現在は終了していますが、以前は「金融円滑化法」(正式には「中小企業等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」)というものがありました。これは平成20年のいわゆるリーマン・ショックによる経営悪化を考慮して、住宅ローンの借り手や中小企業を対象とした救済を行うための法律でした。このような債務者が金融機関に返済が厳しいことを相談に来た場合、金融機関側は返済条件の変更などに応じる努力義務があるというものでした。これは当初、2年間という期限付きでの施行でしたが、結局その後も景気の改善はみられず、平成25年まで延長されました。この法律が平成25年3月をもって終了したことを踏まえて、それに替わる救済策がなければならないということで日本弁護士連合会が主となって制定されたのが特定調停スキームです。
特定調停スキームとはどんなもの?
住宅ローンの借り手や中小企業経営者で返済に困窮する人について、弁護士、税理士、公認会計士、中小企業診断士などの専門家が再生計画案を作って行う債務整理の方法です。任意整理と同じように債権者との間で私的に合意をして行う手続きであるため、法律的な拘束力があるわけではありません。
話し合い自体は裁判所での調停という形になりますが、弁護士などと金融機関との間で事前に打ち合わせされ、合意の見込みがある事案について調停が行われます。実は、この事前の打ち合わせの方が大切で、そこでしっかり内容を詰めておけば調停そのものは1~2回程度で終わることが一般的です。
特定調停スキームを使うメリットとは何?
返済に困窮している人は裁判所を通じた民事再生を行うという方法もありますが、特に事業主の場合は取引先の信用を損ない、取引停止となるなど今まで以上に経営が悪化するおそれがあります。
特定調停スキームは金融機関を相手として非公開に行う手続きですので、むやみにその事実を知られるおそれがありません。また、裁判所の再生手続のように高額な費用がかからないこと、そして、半年から1年という比較的短期間で済むことから利用者の時間的、精神的な負担を軽減することもできます。
また、私的な手続きであるとはいっても、話し合いの際には裁判所から選任された調停委員の立会いがありますので公正が保たれています。同じく私的な話し合いでの債務整理である「任意整理」の場合、返済可能額が債務者本人の自己申告となっています。ですから、債権者側には不安が残りやすく、和解までに難航することも少なくありませんが、特定調停スキームの場合は第三者が間に入ることで債権者の合意を得やすいという特徴があります。
特定調停スキームを使う際の注意点
特定調停スキームを使った債務整理の代理人として裁判所に申し立てをできるのは弁護士だけです。そして、弁護士ならどこでも同じというわけではなく、「認定支援機関」に指定されている弁護士であれば費用の補助を受けることができるため、しっかり事前に確認してから依頼したいものです。
「認定支援機関」とは、中小企業の経営支援に対する専門知識、スキルが一定以上であると国から認められた支援者のことです。認定支援機関に依頼すれば、特定調停スキームによる経営改善計画策定に関する費用の総額3分の2まで(上限200万円まで)について国から補助を受けることができます。