お金の流れを再確認しよう
家計簿は債務整理の軸となる
弁護士・司法書士に借金問題を相談する際、債務者の借金の状況に加えて、現在の仕事や収入などについてもお話をお伺いします。
債務整理には債務者本人が行う特定調停を除くと、任意整理・個人再生・自己破産の三種類がありますが、そのどれを行うにあたっても、支払いと収入の流れというものを一回考える必要が出てきます。
これは簡単にいえば、お給料がいくらあって、生活費と借金の支払いにいくらかかっているのかを見るというものです。
このお金の流れが一目でわかるのが家計簿です。家計簿を細かくつけてゆくと、毎日、なににお金を使っているのか、貯金やお給料がいくらなのか。借金の支払いがいくらになっているのか見た瞬間に理解できます。
このように便利な家計簿なのですが、家計簿の仕組みは企業や地域社会、国家であっても変わりません。国が毎年いくら税金を徴収し、その税金は企業の活性化やインフラなど、生産力の向上に向けて使ってゆく。足りない分は国債として国民から借金をしてゆく。
今回お伝えするのは、この経済活動に自分を合わせてゆくことについてです。
経済とは働いて、使うこと
お金は生産によって生み出されます。生産とは、働いたり、働き手に投資をしたりすることでものの価値を増すことです。ものの価値が増せば、増した分だけお金となります。そしてその増したお金の分をまた仕事に使ったり、生活や余暇に使ったりするわけです。
ものの価値を増やして、その増えた分の一部が自分たちの使うお金となる。これが経済活動の基本です。生産と消費のこのサイクルにしっかりと則ってゆけばゆくほどお金は増えてゆきます。
逆にこのサイクルから外れれば外れるほど、お金はなくなってゆきます。最近ではオリンピックの不要な予算や利権問題が取り沙汰されていますが、これのなにが問題かというと余計なお金を使ったところで税金がなくなるばかりで、なんら価値を生み出さないからです。要するに悪い連中が自分の懐にお金を入れているという悪い話なのです。
手元に話を戻しますと、わたしたち個々人の生活においてもこれは同じことです。たとえば借金を負った際に往々にして出てくる「踏み倒し」という言葉。これは一般的に良いものか悪いものかといえば、けっして良いとは言えません。
払えないのだからしょうがない人もいますが、実際のところ、払おうと思えば払えるのに払わないという人もいっぱいいることでしょう。
これは先ほどの生産と消費のサイクルに則っているかというと、そんなことはありません。サラ金であっても利率をつけて返済をすれば少なくともサラ金業者にとってお金の価値は増しています。でも、踏み倒しをすれば元金分も返済されないのですから、お金の価値は増えていません。生産されていることにはならないのです。
踏み倒しの行き着く先は
じゃあ、払いたい気持ちはあるけれど、債務超過に陥ったり、諸事情で返済が苦しかったりという人が債務整理をしたのであればどうなるでしょうか。
実はこれは大きな問題ではないのです。自己破産であれば、これは人生を再起させてゆく中で再び社会に貢献してゆくことができます。また任意整理や個人再生のような減債と繰延を合わせた債務整理であっても、サラ金会社としても大体折込済みの計算の枠内に収まる上、やはり債務者としては債務整理後、また社会活動に復帰できるため、十二分に経済活動のサイクルに収まるのです。
なぜならもしこのサイクルから逸脱してしまうような仕組みであれば、金融庁も法務省も法律として債務整理を認めるはずがないからです。
このように債務整理を行うこと自体は実は社会に十二分に貢献している良いものです。しかし、ここで一つ問題が生じます。