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自己破産で重要な役割を果たす破産管財人とは何か
裁判所の代理として職務を遂行
自己破産において、債務者が換価(現金化)できる財産を所有している場合は、これを売却などによって処分し、債権者全員に平等に配当しなくてはなりません。
破産手続きが同時廃止事件でなく管財事件となった場合、換価可能な財産を査定し、適切に処分もしくは売却する責任者となるのが破産管財人です。
破産管財人は、裁判所から選任される破産手続きの専門家として、ほとんどの場合は弁護士が任命されます。
破産者と債権者の仲介役として、円滑に破産手続きを進めるために欠かせない破産管財人ですが、弁護士であっても債務者、つまり破産者の代理人というわけではないことには注意が必要です。
破産管財人は、債権者への公正な弁済や配当といった役割がある一方で、債務者の経済的な更正をも手助けする役割を負うことが、破産法において定められています。
つまり厳密には、破産管財人は公正中立な破産手続きを進めるための、裁判所の代理人というスタンスである、と考えるのが正しいでしょう。
破産管財人だけの様々な特権
管財事件において、時価で20万円以上の資産価値のある預貯金、自動車、99万円以上の現金などのように換価可能な財産を「破産財団」といいます。
破産管財人が選任されると、破産財団を管理する全ての権限が破産管財人に移行するため、債務者は自分の財産であっても勝手に処分したり、売却したりすることができなくなります。
その他に、例えば不動産や船舶の任意売却、特許権や意匠権、著作権等の任意売却、債権や有価証券の譲渡などを行なうことは、破産管財人のみに許された権限です。
破産財団の事業譲渡や在庫品の一括売却なども、債権者に対する弁済や配当に充てるための重要な仕事になっています。
知識と経験が不可欠な破産管財人
破産管財人は、破産財団を中立的な立場で調査し、保全することも大切な職務です。
管財事件としての手続開始以降、郵便物はすべて破産管財人に転送されることになります。
これは、破産者による財産隠しなどの行為を未然に防ぐためです。
また、破産財団の確保のためには、否認権の行使といった特殊な権限も認められています。
破産管財人は、債権者の利益を最大化と並行して、破産者の更生をサポートするというハードな義務が課せられた立場にあるため、破産法についての深い知識と豊富な経験を有する専門家でないと務まりません。
そのため破産管財人に任命されるのは、破産裁判所の管轄地域内にある法律事務所の所属弁護士であることが多いのです。
なお、破産者が換価できるほどの財産を所有していない場合は、同時廃止事件となり、破産管財人は選任されず、そのまま免責許可決定の手続きとなります。