このような多重債務の結果、債務者が行き着く先は当然ヤミ金です。とは言え、アルバイトやパートの人はヤミ金から見ると信用が低いため、あまり高額の融資は受けられません。例えば２万円の融資を受けた際、手数料や初回利息など諸々の名目で引かれ、１万円のみが振り込まれると言ったパターンがほとんどです。またその返済は４万、５万と言った高額なものになりやすいのも特徴の一つです。逆に債務者がアルバイトやパートであっても、定期的な収入のある家族が債務者の身内にいる場合、そこそこまとまった額の融資を受けられることもあります。ただし、そのようなときにはいずれ家族に取立がゆくことはまず免れません。

契約社員は会社員とアルバイトの中間の位置づけにあります。しかし正社員と比較して収入が低く、また雇用が不安定なため、アルバイト・パートと同様にヤミ金から借入をすることが少なくありません。

ヤミ金側からすると契約社員とアルバイトはほぼ同じ扱いになります。これは会社側に取立を行ったところであまり高い効果が見込めないことにちなむためです。契約社員は正社員と違い、あくまでも派遣会社に所属する身です。もしヤミ金が契約社員の勤める会社に取立を行った場合、会社はすぐに派遣会社に苦情を入れ、営業妨害をされたと言うことで派遣会社側に補償を申し立てる流れになるでしょう。また派遣会社側も債務者である契約社員を二度と用いようとはしないはずです。

このため、債務者としては会社に督促を入れられるのを恐れるものの、ヤミ金側としては債務者を脅す以外、会社の利用価値は正社員よりも低いものとなるのです。ただし、ヤミ金が契約社員に融資を行わないわけではありません。アルバイトとほぼ同じか若干信用が高い程度の金額で融資を行うのに留まると言うことです。またこの場合、会社そのものよりもやはり親族などへの連絡先がきちんと確保できているかによって信用に差が生まれることになります。

学生ローンはサラ金の一種として昔から存在するものですが、2006年に出資法が改正されたことで収入のない人は借金ができなくなりました。一人暮らしの学生が「ちょっと入り用」と言った際、お金を調達する手段がなくなった分、その市場を急速に席巻しているのがヤミ金業者です。学生は信用が低いものの、親から仕送りを受けていたり、また携帯電話や銀行口座を作らせたりなど、利用価値の高い債務者であるとヤミ金は見ています。

また、会社員が勤め先に督促の電話を入れられるのを怖がるのと同様、学生は保護者と学校に嫌がらせの電話を入れられることを恐れます。もちろんヤミ金が電話をしたところで大学の教務課などは生徒個別の問題には関知しないと述べるはずです。しかし数秒置き、数分置きにヤミ金から学校に電話が入り、職員が電話に出るや、怒鳴る・喚くなどの威圧行為を繰り返すのでは、さすがに学校側も業務に支障をきたしてしまいます。この結果、大学は警察に被害届けを出すと同時に内々で生徒・保護者に連絡を取る可能性も高くなるのです。

保護者がそこでヤミ金対策を行えば問題は収束しますが、手をこまねいて被害が拡大すれば学校側は生徒を放校処分とする可能性は否めなくなります。