ヤミ金にとって書類は意味をなさない

ヤミ金業者は証文を残すことを好みません。一般的な消費者金融も運転免許証や三文判があれば信用調査をして融資を行うため、書類などはほとんど不要となります。しかしヤミ金の場合はそれに輪をかけて適当です。ほぼ口約束で融資が行われます。お互いの信用だけで成り立っている世界なのです。ただし、ヤミ金業者とは金融詐欺師の集団です。債務者がいくらヤミ金を信用したところで、ヤミ金側は債務者との約束など守るつもりはまったくありません。まれに借入と返済を繰り返す優良顧客であると踏んだ場合には口頭での約束を守ることもありますが、それでもただの一度でも返済を渋ると取立の際には豹変して威圧・恫喝をはじめます。

ただし、法律を破って口約束だけでお金を貸すのはヤミ金にとっても非常にリスクが高いもの。このために担保となるものが必要です。ヤミ金業者にとってはそれが債務者の家族となります。いかなヤミ金業者であっても、家族や友人・知人がいない債務者には融資をすることはほとんどありません。回収できる見込みが極端に低くなるためです。

ヤミ金にとって家族は人質

上述のようにヤミ金業者にとって債務者の家族は信用の担保となるものです。これは言い換えれば「こちらの言う通りに返済をしないと家族関係をめちゃくちゃにするぞ」と言う脅しでもあります。ヤミ金にとって家族は人質であり、そして債務者が返済しないと実際に誹謗中傷と返済の肩代わりを家族に迫ってきます。この威圧は必ずしも返済能力のある家族だけが対象となるわけではありません。

実際にあったケースでは、まだ小学校低学年の債務者の子どもを執ように追い回したり、登下校の間に「親に金を返すように言え」と迫ったりしたこともあります。また子どもの通う学校を突き止めて、担任の先生や学年主任・教頭・校長に返済の肩代わりをしつこくまくし立てたと言ったケースもあります。この場合、子どもの身に被害が及ぶ可能性もある上、悪い噂が広まるせいで、子どもそのものが周囲との関係の中で孤立してしまう可能性もあります。このように間接的ではあるものの、ヤミ金の威圧と言うものは小さな子どもを含めてあらゆる面に及んでくるのです。

家族の勤め先も突き止めてくる

ヤミ金の脅迫は家族の勤め先にも及んできます。ヤミ金からお金を借りた結果、夫婦である場合には、まず伴侶の勤め先に嫌がらせをしかけてくることになるでしょう。この嫌がらせのパターンは夫婦に限らず、兄弟姉妹や父母・子どもの勤め先においても同様です。よしんば従兄弟のような傍系の親戚であれば、さほど親しい間柄ではないことが多いため、ヤミ金からの取立を受けたことで債務者に対して激しい怒りを覚える可能性も否定できません。

いかな家族・親戚とは言え、それぞれに人生がある個人です。ましてや勤め先はそれぞれの生活の基盤となるもの。これに対して債務者の借金で甚大な被害を被ったとあれば、彼らとの関係を修復するのは至難の業となってしまいます。

ヤミ金から借金をした場合、債務者が携帯電話に登録している家族・親戚・友人・知人のすべてに大きな迷惑が及びます。ヤミ金対策を行わない限り、債務者はいずれ必ずこの問題を生じさせ、金銭のみならず親類縁者との関係すべてに甚大な被害をもたらすことを知っておかねばなりません。

債務者個人では家族への嫌がらせは止められない

ヤミ金は犯罪組織の中でも特に悪質なものです。債務者の家族に嫌がらせの電話をかけた結果、債務者が慌ててお金を作って借金を完済したとしても、ヤミ金は「この債務者は家族を脅せばお金を出す」と味を占めてしまいます。つまり、ヤミ金が家族への嫌がらせを始めた段階で返済をしようがしまいが同じことの繰り返しになるのです。

仮に警察に駆け込んだところで、弁護士・司法書士を立ててきっちりと話をしない限り、警察側としても有効な対応策を施せる可能性は低いです。これはヤミ金の被害者が全国に何１０万人とおり、その一人ひとりに捜査をかけることが難しいためです。また、警察官が善意でヤミ金側に電話をしてくれたところで、ヤミ金側がそれで手を引く可能性は非常に低いでしょう。なぜなら、家族を脅迫した時点でヤミ金としては単なる高利貸しではなく、明確な犯罪行為を働いたものとして後には引けないためです。