信用問題とヤミ金
「信用」の喪失を債務者は怖がる
借りたお金を返すことで「信用ができた」と思い込むのは、多重債務者特有の思考
ヤミ金対策を行っても、その内容が金融情報を管理するKSCやCICなどの信用情報機関に報告されることはありません。なぜなら、そもそもヤミ金と信用情報機関との間には何らの関係もないためです。
ヤミ金は金融機関ではなく犯罪者です。誤解されがちですが、サラ金や商工ローンのような「金融機関」ではありません。あくまでも金融機関に見せかけた犯罪者集団なのです。
例えばある人が詐欺師を捕まえたとします。すると「あの人は詐欺師を捕まえた」と周囲から白い目で見られるでしょうか。もちろんそんなはずがありません。むしろ詐欺師を捕まえた人として一般社会からは感心されることでしょう。ヤミ金対策も同じことです。ヤミ金対策を行ったところでサラ金はもちろん、サラ金情報を共有する信用情報機関に対して一切デメリットは生じないのです。
では、なぜ債務者の多くは信用問題が生じないにも関わらず、執ようなまでにヤミ金対策によって信用に疵が付く可能性を危惧しているのでしょうか。その答えは簡単で「これ以上借金ができなくなったらどうしよう」との思いが債務者の心の中にあるためです。
厳しい言葉を述べますが、一般の人はあまり借金をしません。金融機関に対しての「信用」を考えるのは、銀行を相手に借入をしたい中小企業の経営者か、さもなくばサラ金から借入を繰り返す多重債務者だけなのです。そう考えると「信用」について一々考えることを止めた方がずっと正常な生活に戻りやすくなるはず。狙うべくは借金のない普通の生活です。以下ではヤミ金問題はもちろん、借金のない生活に戻るためにはどうすれば良いかについても併せて述べてゆきます。
「信用」を逆手に取るヤミ金のワナ
「まだ誰か貸してくれるかも」と考えだすのはヤミ金地獄の第一歩
ここでは信用情報機関とヤミ金について解説を行います。しかし、そもそも信用情報機関における「信用」とは何を意味するかお分かりでしょうか。また債務者から見た「信用」とはそもそも何を意味するのかお分かりでしょうか。
借金問題における「信用」。これは端的に言えば「貸したお金を返せるのか」と言うことに尽きます。
多重債務者は複数社から借金をしていたり、また利子が積もりに積もって到底返済できない状況だったりすることを自分でも薄々気づいています。それでも債務者は必要に駆られてさらなる借金をするために新たなサラ金を探します。しかしまっとうなサラ金としてはこのような多重債務者が借金を返済できるとは思っていません。要するに「信用」がないのです。
ここで債務者本人が「もう誰も自分が借金を返せるなんて思っていないんだな」と気づくことができれば問題ありません。きちんと債務整理をすれば借金問題は解決するのです。
しかし、薄々事実に気づきつつも「まだどこか借金できるところがあるかもしれない」と目を皿のようにして様々な金融機関を探し続ける人は少なくありません。この結果、三流雑誌の片隅やインターネット内の見るからに怪しいページの隅などに「審査ナシで即日融資」と謳う広告を見つけるのです。もちろん債務者は夢中になって融資の依頼をすることでしょう。
ここで問題になるのは多重債務者に陥っている人はヤミ金を「犯罪組織」「詐欺師集団」ではなく、サラ金の延長と思っていること。つまりヤミ金のワナにはまりやすい人は、ヤミ金が高利で法律違反であることは理解しているのです。しかしその根本的な認識がずれているのが問題なのです。多重債務者の多くはヤミ金を犯罪者集団ではなく、あくまでも法律を守らない「金融屋」と見ているのです。
かたやヤミ金側は、多重債務者がヤミ金をどのような目で見ているかしっかり理解しています。このため、例えば多重債務者が「審査ナシで即日融資」の広告につられてヤミ金に電話を入れた場合、ヤミ金側は多重債務者の「常識」である「信用」を逆手に取って次のように述べます。
- ・「あなたはうちの会社から融資を受けるのは初めてですね。
信用がないので、まずは1万円しか融資できません。
もしきちんと返済ができるならば信用がつくため、次回には10万円までなら融資ができます」
などと持ちかけてくるのです。もちろんこれこそがヤミ金の罠。振込のために銀行口座などを伝えてしまうと、すぐに押し貸し同然に1万・2万などの少額が振り込まれます。審査がまったく存在しないため、この時点で危険を察知する債務者もまれにいますが、事ここに至ればもはや手遅れ。例えば押し貸しをしてきたヤミ金に危険を感じ、今振込された分を返済しようと債務者がヤミ金に電話をかけたとします。するとさっきまでの温和な態度とは打って変わって、罵声と怒声の嵐が始まるのです。
- ・「もう振り込んだのだから受け取れない」
- ・「手数料がかかるので倍額をすぐに振り込め」
- ・「できないのなら親や会社に電話をかける」
と脅し文句のオンパレードが並ぶことでしょう。
また、相手がヤミ金であることに気づかず、返済日に言われるがまま、融資額の1万円と利子の5千円なりを返して完済とする人もいます。しかし完済分を振り込んだ旨をヤミ金に伝えてもヤミ金側は「まだ足りない」とごねと脅しが始まるのです。
なぜこのような事態になるのか
ヤミ金問題が始まるオーソドックスな流れを上で述べました。しかし債務者側は実際に問題が生じるまで、なぜ相手の危険な兆候に気づけなかったのでしょうか。
それは「信用」と言う暗黙の共通項がヤミ金と債務者との間にあるためです。債務者は「信用」と言う言葉に滅法弱く、信用を作るためならばかなりのリスクを自発的に負います。ヤミ金はそれを逆手に取って少額融資で簡単にヤミ金の債務者を作ることができるのです。
- ヤミ金問題に引っかからないために
- 信用を失うことを恐れてはいけません。債務者自身が「自分には信用がある」と思っていても、ヤミ金は当然のこと、サラ金ですら債務者の「信用」を信じてはいません。融資を頼んで貸してくれないのであれば、その時点でもはや自分に社会的な信用はないと思い、すぐに債務整理を行うことが正解なのです。
そもそも小口融資のサラ金業者でも「初めてだから信用がない」などとは言いません。貸せるものは貸せるし、だめなものは1円でも融資してくれないのです。それでももしヤミ金から押し貸し同然にお金を押し付けられたりした場合にはまずは当所にご相談下さい。現状の信用を落とすことなくヤミ金問題の解決が可能となります。