ヤミ金について知る
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とはかの有名な孫子の兵法にある言葉です。ヤミ金対策を考える上でまず着手すべきことは、「ヤミ金とは一体何か」について学ぶこと。世間におけるヤミ金とは高利を貪る暴力集団と言った程度の認識でしかなく、その実態についてはほとんど知られていないのが実情です。
そこでここではヤミ金対策をする上での大前提として「そもそもヤミ金とは?」について解説をしてゆきます。
ヤミ金の概要
「ヤミ金」と言われると世間的にはめちゃくちゃな利息と取立を行う違法な金融屋と言ったイメージがあります。その認識そのものは間違いではありません。確かにヤミ金は10日で一割・三割・五割(トイチ・トサン・トゴ)と言った暴利で融資を行い、債務者が返済できない場合には激しい恫喝や取立を行います。
また同時に借入先の系列業者である別のヤミ金業者を紹介して手数料を取ったり、借金の一本化を図ると嘘をついて他の消費者金融からの債務額分の借用書を書かせたりなど、ありとあらゆる手段で債務者を罠に陥れようとしてきます。
ヤミ金は金融屋ではない
ヤミ金業者は昔からマスメディアや書籍、ドラマなどで題材として採り上げられてきました。中でも、その違法な高金利や過激な取立が過剰にクローズアップされてきたきらいがあります。その結果、ヤミ金業者は「よくわからないけれど怖い」と言う曖昧なイメージばかりが世間に浸透してしまい、肝心の、ヤミ金業者がどのような手口で犯罪を行うのかまでにはなかなか目が向かなくなってしまったこともまた事実なのです。
このため、ヤミ金からお金を借りた場合、多くの債務者は次の2つに分けられます。
- ・トイチやトサンの高金利でも、何とかお金をやりくりして返済できると考える人
- ・返すあてなどまったくないけれど、犯罪者が相手なのだから何とかなると考える人
はっきりと申し上げます。どちらを選んでもどうにもなりません。
なぜならヤミ金はそもそもが「金融屋」ではないためです。
ヤミ金とは「なんでもあり」の犯罪集団
ヤミ金は違法な金融業と言ったイメージが世間ではまかり通っています。しかし正確に言えば、ヤミ金は貸金業者ではありません。ヤミ金とは「なんでもあり」の犯罪者集団のことなのです。
わかりやすく申し上げましょう。駅前に宝くじ売りの露店があります。人気の露店らしく、多くの人が列をなして窓口にならび、彼らは一度に百枚・二百枚とたくさんの枚数の宝くじを買っています。窓口には「一等3億円がここで当たりました!」の張り紙がたくさん張ってあります。それを見ているうちにあなたも「ここなら当たるかもしれない」と奮発して1万円札を取り出し、その金額で買えるだけの宝くじを買って家に帰ったのです。
ところが後日、再び駅前を通りがかるとそこには宝くじはおろか、露店の姿すら見当たりません。周囲の人に聞いてもここに宝くじ売り場があったことすら知らないのです。慌てて家に帰り、宝くじチケットの裏に書いてある電話番号に電話しても電話は通じず。そこであなたははたと気づきます。「これは詐欺だったのではないか」と。
さて、これは「宝くじ」と言えるでしょうか。そうです。あくまでも「宝くじを装った詐欺」なのです。ヤミ金の実態もこれと同じ。お金を貸している“ような体裁”を繕っているだけで、その実態は単なる詐欺師に過ぎません。それも脅迫や嫌がらせを巧みに織り交ぜてくる悪質な詐欺師です。
例えばこんなケースも
例えばある人がヤミ金から10万円を借りたとします。ヤミ金側は借用書も出さず、債務者の携帯電話を借り受け、家族や友人などの連絡先を調べた上で債務者に「10日で一割の利息です」と10万円を貸し付けます。
それから10日後、お給料が入ったということで債務者は元金の10万円と利息の1万円、併せて11万円を携えてヤミ金に振込を行う旨を告げます。ところがヤミ金側は「11万円? あなたは何を言っているんですか、1日で十割、複利で増えますので利息分を併せて550万円ですよ」と始まるのです。もちろんそんなお金が払えるわけはありませんから債務者が慌てて断ると、ヤミ金は「だったら今から会社や親に連絡するから」と脅しをかけ始めます。債務者が泣く泣く今は払えないと返事をすればヤミ金は「じゃあ今日、お給料日でしょ。今はあるだけ全部振り込んでおいて。残りは来月でいいので」と応じてくるのです。もちろんここからヤミ金地獄が始まります。
悪質なヤミ金業者に対抗するために
ヤミ金の問題点は大きく3つに分けられます。
- ・法定利息を大きく逸脱した暴利を貪ること
- ・恐喝や脅迫、嫌がらせ、ときに暴力行為などの犯罪を行うこと
- ・債務者のみならず、債務者の周りの人々に大きな悪影響を及ぼすこと
個人でこの問題を解決しようとするとほとんどの場合、ヤミ金は火種を大きくしようとして周囲への嫌がらせなどを激化させます。この結果、債務者のこれまでに培ってきた人間関係や周囲への信頼の失墜のみならず、例えば雇用先の問題や夫婦関係・家族関係にまで大きな亀裂を及ぼす可能性があるのです。
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